神苑の半ばあたりまで進んだところで遭遇したフライングオニオンの生息地から足早に立ち去り、
またしばらくは穏やかな庭園が続き、心の落ち着きを取り戻しつつあった。
だが、その先で、筆者に、この平安神宮で最大の試練が待っていたのである。
↑川に浮かんだ何個かの石の前で、提示される不気味な看板
「神苑拝観の皆様へ
臥龍橋を渡られる場合は、池に落ちないように充分注意して下さい。万一の事故等については、
責任を負いかねますので、予めご了承くださいませ。」
この先の試練を暗示するかのような、
この看板の文言に足元が震えだしたことは、
言うまでもない。
もしかすると・・・、あの丈夫に見える石の数々の中のどれかに、
石に似せたスポンジのトラップが仕組まれているのかもしれぬ。
そう思うと、この臥龍橋を渡る決心がまるでつかない。
しかしながら、いつかは、この臥龍橋を渡らなければ、
この神苑から無事脱出することはできないのは明白である。
脱出が遅れて夜になれば、
更なる恐怖にさらされるであろう。
ならぬ。それだけは避けねばならぬ。
私は、一つ、2つと深呼吸をして、決心した。
「よし、渡ろう。たとえ、池ポチャの恐怖に見舞われることがあっても、
何度でも這い上がってやる。」
そして、臥龍橋と称される石に一歩ずつ、慎重に足を載せていったのである。
↑ 石もどきスポンジを踏み外す恐怖におびえながら、一歩一歩。
やっとのことで中間地点まで進み、
その後も恐怖と戦いながら、冷や汗をかきながら、向こう岸に到着。
「今日も生き延びることができた」
石もどきスポンジはなかったのである。
筆者は、石もどきスポンジという心が生み出した幻想に
己の未熟ぶりを感じつつも、
同時に、安堵の気持ちを感じずにはいられなかった。
貴殿もこの神苑に訪れることがあったら、
ぜひともこの臥龍橋に挑戦いただきたい。
石もどきスポンジが存在しないことは私が証明したのだから、
安心して渡れるであろう。
しかし、その安心も、
この数分後に、
ズタズタに切り裂かれたのである。
あの恐ろしい生物の行いによって・・・。
~つづく~
【平安神宮編 全記録】
平安神宮編1 20m級の巨人が来ても恐れるに足りぬ! 巨大鳥居
平安神宮編2 緑と赤のノコノコカラーが美しいご社殿
平安神宮編3 国指定名勝 「神苑」への突入開始
平安神宮編4 「神苑」で突如あらわれる、謎の電車に絶句
平安神宮編5 神秘の生命体「フライングオニオン」との遭遇
平安神宮編6 池ポチャ危険!臥龍橋
平安神宮編7 怪鳥「白サギ」の規律破りに驚愕す
平安神宮編8 最後の試練、泰平閣の上の住居
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